翌日、朝食を食べに7時ごろ外に出た。
なんとなく朝焼けが残っていて、気持ちの良い朝だ。娘はいつもならまだ寝ているから、眠そうな顔をしてただベビーカーに寝転んでいる。
私は朝食はあまり食べない人間だったが、娘といると一緒に食べようという気になり、最近はちゃんと食べるようにしている。旅先で朝食の店を探すのも楽しみの一つになった。
ホテルの裏へ少し歩いたところにある沖縄の名物「ゆし豆腐」が有名な「とうふの比嘉」へ向かっていた。
両脇が畑の道をただひたすらに歩く。この景色や雰囲気をどう表したらいいか分からないが、少しわくわくする。
人気店だからこの時間帯でももしかしたら行列かもしれないなと思っていた。しかし着いてみると誰もいない。置いてある立て看板を見るとまさかの臨時休業。うーん、残念。娘も豆腐なら食べてくれると思ったんだけど。
仕方がなしにコンビニでジューシーおにぎりやタコス風のおかずなどを購入して帰った。
食べられるものがあるか不安だったが、娘はジューシーおにぎりをずっと食べている。やはり好きなんだな。美味しく食べられるものがあって良かった。
食べ終わるとすぐにホテルの部屋を探検し出す娘。ソファからジャンプ(できていないけど)したり、金庫を開けたり閉めたり(実際に物を入れて閉めてしまい私が泣いた)、存分に遊べたようだった。
この日は竹富島へ日帰りで行くことにしていた。事前にツアーを申し込んでおり、送迎を待っている間はホテルに併設されているコーヒーショップで待つことに。
店員さんはとっても優しくて、他のお客さんがいない間はずっと娘の相手をしてくれていた。
最近のブームなのかよく腕を後ろに組んで歩く娘。それを見て「社長!」と呼んで楽しませてくれる店員さん。
娘を席に座らせると、店員さんがテーブルを拭いた後の水滴が少し残っていた。それに気づいた娘は急に椅子から降りてベビーカーの荷物入れからウェットティッシュを取り出し、テーブルを拭き始めた。さすがにこの行動には私も店員さんもびっくりしてしまい、大笑い。まさに抜き打ちチェックをしに来た働き者の社長の振る舞いだった。
そこから送迎バスに乗って、竹富島行きのフェリーに乗って、竹富島にあるツアー会社のデスクへ行くためにまたバスに乗って、気づいたら水牛車に乗っていた。
それぞれ短い時間だけど移動続きすぎて、最後のバスでは娘はもう耐えられそうもないギリギリだった。娘の様子と安全と、周りの人への配慮と、私はヒヤヒヤする。夫は乗り物に乗るとすぐにうとうと。必要な時だけ起こすスタイル。
水牛が引っ張ってくれるのんびりなリズムでやっと一息。ガイドの方が数曲、三線を弾きながら歌ってくれるが、沖縄っぽい歌が民謡とかではなくBEGINの曲っていう。
娘は音楽が好きっぽくて、商店街でBGM的に小さい音でかかっている音楽ですら立ち止まって手拍子して満足してから次の場所へ移動する。ここでも一生懸命に手拍子をして楽しそうだった。
水牛車を降りると、竹富島が石垣島よりずっと暑いことに気づいた。地面が白い石で覆われているため照り返しも半端じゃない。
ふと我に返ったような感覚で暑さを感じ、10月なのにまだジリジリと聞こえてきそう。真夏に来るのはきついだろうなぁ。
昼食を食べたら島内を少し歩きながら、近年では滅多に開店していないというかき氷屋に行った。今日はたまたま開いていたということで、ほぼ満席。山のような盛り付けのかき氷を注文。
娘の前に持って行くと、大きく口を開けて驚くような表情。口に入れてみると冷たかったのか、それとも思った味と違ったのか、こちらが思ったより食い付かなかった。
しかしあまりに暑いので、本能的に3人でひたすらに氷を食べた。一気に体温が下がる感じがした。屋根と扇風機のある外席しかない店で、どの家族も黙々と氷を食べている光景は少し面白かった。
ここで再び娘が何かを指差して「おかあしゃん!おかあしゃん!」と叫んでいる。何を見つけたのかと思ったら、このポスターだった。
見た瞬間に爆笑した。流石に絶対どう考えてもこれについては似ている要素が皆無なんだけど。大丈夫かしら。娘に私はどのように見えているのだろう。
10数年前にも竹富島には来ていた。その時も水牛車に乗り、同じカキ氷屋に来ていたみたいだった。今とは違う、山のようではない普通のかき氷を提供しているお店だったようだ。今回の旅は娘の記憶には残らない。でも体験が血となり肉となると信じている。